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Profile: 2011年9月~2021年現在

1989年(平成1年)7月 登録車

1598 cc  4AT

全長x幅x高 4230×1680×1295 mm

ホイールベース2430 mm

重量 1110 kg 前720 kg 後390 kg 




エクサのカタチ

 

クーペはキャノピーほどつつくところがないので、ここは主にエクサのくくりで掘り下げてみよう。

 



13. 2019年のエクサ

 

2019年も残すところわずかになったが、フォトコラムとしょうもないブログ更新に勤しんだせいで、ここにはあまり書いてこなかったことに気付く。

エクサについてもカタチネタで取り上げたい部位はまだまだある。書き尽くすのが先か、エクサの寿命が尽きるのが先か、である。

 

平成元年7月登録のエクサ-2。30年が経過し、時代は変わって令和になった。付き合いは2011年からだから8年になる。(ちなみにエクサ‐1は平成元年8月登録で、付き合いは17年間であった。)

走行距離は10万kmをちょっと超えたところだ。

運転席側のドアガラスが落ちる、速度メーターが動かなくなる、シートベルトの樹脂ギアが破損してテンションレス機能が働かなくなる(別途詳解予定)等は、エクサ‐1でも発生したから、同じ過程を経ている最中だ。

 

エアコンはお亡くなりになっている。にっぽんのまんなかへんで朝晩の気温差が大きい土地柄、夏場でも通勤には(ほぼ)支障がない。早朝に出て、夜涼しくなってから帰ればよい。しかし昨今の働き方改革の流れのなかでは、やや苦しい。

昼間はとにかく日差しを避けることだ。乗車中は陽の直射を受けないようにすれば何とかなりそうなのだが、未だにうまい日よけの開発ができていない。

車内空調の冷風・温風の切り替えは、ダクト作動用のモータが動かず、ファンを回せば常に最強熱風が出る。真冬は◎だ。

 

2019年のエクサ-2は、リアショック、ベルト、メータワイヤー、バッテリーなどの部品交換はあったものの、車検も通し、問題なく過ごした。と言いながら、何かあるのが師走である。締めくくるにはまだちょっと早いか。

 

2019-12


12. フロントシート

 

エクサのフロントシートは、バックレストにショルダー部がないバケットタイプで、30年前の1980年代後半のスポーツタイプに多く見られたカタチだ。

 

バックレストのサイドサポートから上は細身で、ヘッドレストとほぼ同じ幅。五十肩でなければ、リアシートの上やリアシートの床に置いたものに手が届きやすい。リアシートに座ったときの閉塞感も少ない。

エクサ以降のパルサー、NXクーペからショルダーが張ったシートバックになった。衝突安全やサポート性重視のためか、はたまた見た目の新規性も目論んだのか。

 

このエクサと同じヘッドレスト一体型はそれほど多くないようだ。

国産でざっと見たところ、

トヨタ・ブリザード(1984-1989)

プレリュード(1991-1996)

セルボ(1988-1990)

 

エクサの場合は、ヘッドレストの下に樹脂製のプレートがはめ込まれているのが意匠上の特徴だ。これがないと、バックレストが見た目に細長くなりすぎて締まらない。プレートの表面には、ダイアゴナルスリットの横置きショートヴァージョンが2個並ぶ。

 

座面の高さ調整はなく、リクライニングと前後スライドのみ。

座面前端は高すぎず低すぎず。バックレストはかなり倒せるからちょっとした仮眠もできなくない。

体調も影響するだろうが、一日乗り回してもカラダのどこかが痛くなることはない。

 

そのカタチには、過剰なところがなく軽快で、独自性があって機能美が感じられる。なかなかの逸品だと思う。しかし、シートのデザインの評価はどうもやりにくい。シートとは、かけ心地や機能性、ハンドルやシフトノブとの位置関係、インテリアとの調和などを含めて評価されるべきもので、単体のカタチだけの評価はあまり意味がないということなのかもしれない。

エクサ-1から数えて25年座ってきたこのシートについて改めて解釈を試みたのだが、どうも言い尽くせていない感じがする。ただ、25年乗ってもまったく飽きることがないと言えば、半分くらいは伝わるのではないだろうか。

 

2019-12


11. キャンバスハッチ

 

リアハッチが取り外せるというのも、考えてみれば極めて珍しい。外したらクルマのカタチが変わるのである。

重いリアハッチは二人がかりではずす。専用ロッドをつっかえ棒にしてハッチを全開状態にして、ゴムのプロテクターをハッチとデッキのそれぞれに設置したりと芸が細かい。外したガスステーがぶらぶらしないように固定する部品もクーペとキャノピーで全く異なる。

 


ハッチの置き場所はあらかじめ考えておかねばならない。置き場所さえ確保できれば、2%ほど軽くなった状態で走り出すことができる。Tバールーフも置いていけば、ヤドカリが貝殻を脱いで出歩くときの気分(?)だ。しかし天候の心配は置き去りにはできないから、キャンバスハッチを取り付ける。応急用だが、日常使いでも十分雨風はしのぐことができる。春から秋の半年ほどつけっぱなしもできなくない。ただ、取扱説明書には「日常の装着はおやめ下さい」とある。キャンバスを取り付けるのはあくまで雨天の応急時のみということなのだ。

シトロエンC3プルリエルもサイドアーチを脱着して変身できる。が、外したら最後、応急の手立てはない。


キャンバスハッチはパイプフレームとビニールの透過部を備えたキャンバスからなる。キャンバスをパイプフレームに合わせて、キャンバスの縁に取り付けられた40個ほどもあるホックを締めていかなければならないが、なかなか地味な作業だ。開放したければ上半分のホックを外し丸めて写真のように止めておく。 リアハッチの開錠レバーを引けばヒンジで折れ曲がってトランク部分だけ開けることができる。全開にしたければ、キャンバスを外すよりフレームごと外してしまったほうが手っ取り早い。しかし、また置き場所を考えなければならない。

 

ちなみに、リアハッチ脱着キットと応急用キャンバスハッチはそれぞれ取説が別である。脱着キットのみ購入したケースもあったのだろうか。

 

 

付けたり外したりできるエクサであるが、走行可能状態でどれほどカタチのバリエーションがあるのかというと、

1.リアハッチノーマル状態

2.リアハッチなし

3.パイプフレームのみ取り付け

4.キャンバスハッチ取り付け全閉

5.キャンバス半分開放

 

これにTバールーフのバリエーションとして、

a.  運転席側のみオープン

b.  助手席側のみオープン

c.  運転席・助手席オープン
d.  運転席・助手席クローズ

 

さらに、ちょい変だが確実にカタチが変わるのが、

①  リトラクタブルヘッドライトON
②  リトラクタブルヘッドライトOFF

 

以上、5x4x2=40通りということになる。これに加えて、クーペとキャノピーのリアハッチが付け替え可能であったなら、48通りだ。もはや他ではあり得ないバリエーションである。

5-a-②の状態

 

中古で入手したキャノピー、クーペのいずれにもキャンバスハッチと交換キットが荷台に積まれていた。このオプションがどれほどの比率で所有されていたのだろうか。キットを購入したものの一度も装着しなかったケースもあったと思われる。現に22年落ちのクーペの荷台にあったキャンバスはほぼ新品だった。

エクサを2台所有してリアハッチをキャンバスハッチにしたのは多分3回である。便利なことは何もない。ビニール臭いし、バタバタするし、ビニールの透過部の視界は良いと言えないし。何のために? 
そこにキャンバスハッチがあるから。重いコート脱いで ♪ 出かけたくなるときもあるのである。


2019-02


10. リアルーム

 

エマージェンシー用のリアシート。大人では後頭部がリアガラスに触れてしまう。ヘッドレストはない。ここは基本的に荷物置き場である。それでも箱型クーペスタイルのエクサにはそれなりの後席空間が確保されている。

バックレストの後ろには仕切りがなく、奥行25㎝程のすきまを介して荷室へ通じている。クーペとしては違和感のある空間だ。

ハッチの裏側にはプラスチックのモールと布地が貼られている。このモールがないとボディ色がむき出しになり安っぽく見えてしまう。セダンの最低グレードなどでは「あり」
たが、スペシャリティカーのエクサでは避けたのだろう。

 

ちなみにキャノピーのハッチに内貼りはない。このカタチだと貼りようもないが、色がグレーであれば黒色の内装と合わせても違和感はない。キャノピーのハッチがグレーのまま残されたのはこの辺の理由もあったかもしれない。 

 

2018-05


9. リアデッキ

 

リアデッキのデザインを見てみよう。

 

リアデッキの上端はベルトラインの延長上にあり、リアハッチがベルトラインに乗っかったカタチだ。

Cピラーはハッチに覆われている。

シルピア/ガゼール(S12型ハッチバック、1983-1988)からNXクーペ(1990-1994)、Z32(1989-2000)にかけて日産に見られる処理である。特にエクサ以降は、ハッチとボディの間に黒いラインが見えるようになって、それがきっちりリアエンドまで回り込んでいる。

 

Cピラーがハッチに覆われているものとしては、ピアッツァ〈1981-1991)が思い浮かぶ。

 

ピアッツァのプロトタイプは1979年に発表された。

それ以降、AE86(1983-1987)、シビック(1983-1987)、ミラージュ(1983-1987)、リベルタ・ビラ、ラングレー3ドア(1986-1990)、三菱エクリプス(1995-1999)などにも、Cピラーをハッチが覆うデザインがみられる。

同じいすゞのジェミニ(1985-1990)は、ピアッツァに似すぎないよう敢えて覆わなかったのだろうか? 同じジウジアーロの手によるセアトの初代イビザ(1984)は覆われているが。

 

ワゴンタイプだと、Cピラーではないが、サニーカリフォルニア(1981-1985)、スカイラインエステート(1981-1985)が、ボディサイド、リアガラスまで回り込んだリアハッチを備えていた。このあたりはピアッツァの影響はないだろう。

 

 

エクサに戻って、クーペで25kg、キャノピーで30kgのリアハッチを取り外せば、ベルトラインがそのまま露出する。

 

エクサ登場の頃、従来からあるパジェロ、ジムニーなどに加え、スズキ・エスクード、ダイハツ・ロッキー、いすゞ・ミュー、少し後にトヨタ・RAV4など、オフロード4駆、ライトクロカンの選択肢が一気に増えた。ソフトトップを備えたタイプは4座でオープンが楽しめる。

 

エクサのこの姿は、あえて言えば、オフロード4駆のソフトトップバージョン風。かと言って、RVとクーペのクロスオーバーとは言いにくい し、そもそもクーペ以外の何かとの融合など意図されていない。

 

このままハッチなしで走ったらさぞ違った世界に浸れるのでは?と思いきや、ドライバーからしたらバックミラー越しの視界がいつもよりわずかに広くなるのと、後ろが多少スース―する(感じがする)程度である。
後席の乗員はかなり中途半端な状況に置かれる。前を向いたままなら視界はほぼ変わらず、振り返らなければ違った風景は拝めない。かといって常に後ろを向いているわけにもいかず、結局は、日射と後続車からの視線、きつい足元空間と低いバックレストに耐えながらの乗車になる。


クロカン4駆のソフトトップの後席はセンターピラーから十分後方に配置され、しっかりしたシートが備えられていたから、そちらの方が非日常を味わえただろう。ただ、後席に乗員を乗せてオープンで走っている姿は当時も今もほぼ見かけることはないが。

 
いすゞミューの「ハードカバー」は、グレーの樹脂製のカバーを備えていてエクサとよく似ているが、こいつはなんと2シーターだ。

リアデッキ番外編

Mercury XM (Ghia) (1978年)

コンセプトカー。後席乗員はフレッシュエアを受けることができるとのこと。

http://www.carstyling.ru/en/car/1978_mercury_xm/

2018-02


1. クーペのカタチ

 

クーペのカタチはいたって普通で、当時のノッチバッククーペはどれもこんなシルエットだ。

 

FFになったAE92型(1987-1991)と比較すると、同じような寸法だ。

エクサ:全長 × 幅 × 高 4230 × 1680 × 1295 mm、ホイールベース 2430 mm

AE92  :全長 × 幅 × 高 4290 × 1680 × 1300 mm、ホイールベース 2430 mm

 

全長はエクサのほうが60mm短いが、+2の後席に与えられた空間はそれを差し引いてもさらに狭い。

ドライバーの位置がエクサのほうがホイールベースに対し後ろ寄りなのだろう(たぶん)。
後席が+2でなくAE92型程度であったら、セールスはもう少し伸びたと思われる。

全高はエクサのほうが5mm低いが、ベルトライン(後述)が低いせいか、さらに低く見える。


今見ると、エクサが各所にスペシャリティを感じさせるのとは反対に、
AE92型ではセダンからの大きな逸脱はそもそも意図されていないように見える。スペシャリティという点ではMR-2(AW10型)にその役目があったのだろう。
 

ちなみに、一世代前のAE86型は、

AE86  :全長 × 幅 × 高  4215 × 1625 × 1335 mm、ホイールベース 2400 mm

AE92型より全高が高いものの、シンプルなスタイルがスポーティさを感じさせる。

 


2. センターピラー

 

エクサクーペの外観で最も特徴的なのは、ロワボディから段差なく伸びる太いセンターピラーだろう。
 

横からの写真をセンターピラー以降でカットすると、凡庸なクーペのシルエットは消え、脳みそが勝手にいろんなカタチを妄想し始める。
フルゴネットタイプのバンのようなものや、スーパーカー的なものも見えてくる。
  
マセラティ ボーラ(1971)

ロワボディと幅広のセンターピラーは面一で、それがルーフまで回り込んでいる。
ボーラはファストバックではあるが、リアフードはかまぼこっぽくてキャノピーに近い。

メラクというノッチバッククーペが兄弟車で存在するところも、勝手にルーツを感じたりする。

 

さて、同じようなピラーを持つクルマとしては、

Ferrari 330 GT Shooting Brake (1968)

フィアット X1/9 (1973-1978)

三菱 スタリオン (1982-1989)
エクサと同時期に、

ポンティアック・フィエロ(1986)(一部ブラックアウトされているが。)
マツダ サバンナRX7 (1985-1991)

 

ロワボディと若干の段差がついて、

トヨタ スープラ(1986-1993)
これ以降はボディに抑揚がついて、
ユーノス プレッソ、オートザム AZ-3(1991-1998)、
RX-7(1991-2002)
など。

クーペスタイルで、ロワボディから段差なく伸びる太いセンターピラーは今見ると新鮮だが、 当時はぼちぼち終焉を迎えつつあったようだ。

エクサクーペの場合、太いセンターピラーと、直後から下降するリアガラスからは、後席の存在を消し去ろうという意図が見え隠れする。外観は2シーターになりたかったのかも。
  


3. リアハッチ


ノッチバックのクーペスタイルだが、リアガラスがトランクリッドと一体で(くの字型に)開くところが特徴的だ。

 

リアハッチにはリアウィンドウが少しくぼんだ位置にはめ込まれており、 トランクリッドの両サイドは凸状に盛り上がってリアスポイラーにつながっている。
真横から見るとスポイラーがあることには気付かない。 斬新な形状だったが、あまりにもさりげない。
 

リアウィンドウとトランクリッドが一体になっているから、前下がりの傾斜地に駐車すると水が溜まる。


前期型のハッチ部分はボディカラーとは関係なくグレーのみであった。
それはそれで斬新ではあったが、後期にはクーペのみボディ同色となってデザイン上の質感は高まった。

 


4. Tバールーフ、絶滅の危機

 

Tバールーフは、気分次第で運転性側、助手席側を別々に脱着できる。

 

片側ずつならそれほどかさばらないので、簡単に荷室に放り込める。頭上しか開放しないから、さりげなくオープンドライブが味わえる。フルオープンほど風と視線にさらされたくないという向きにはちょうどいいアイテムだが、このカタチも最近のクルマに装備されることはなくなってしまった。


エクサ(1986-1990)の同時期、もしくはその後の市販車を見てみよう。

 

Tバールーフ:
日産 NXクーペ(1990-1994)*、フェアレディZ(Z32:1989-2000)*
トヨタ MR2(1989-1999)
スズキ X-90(1995-1997)


タルガトップ:
ホンダ CR-Xデルソル(1992-1997)、NSX・オープントップ(1995-2005)
スズキ カプチーノ(1991-1998)

スバル ヴィヴィオ・ Tトップ (1993-1995)*

トヨタ スープラ・エアロトップ(1989-1993、1993-1999)*
三菱 RVR・オープンギア(1993-1997)*
フェラーリ スーパーアメリカ(2005-2006)
ルノー ウインド(2010-2013)

新しいところでは、

ポルシェ 911タルガ4S、マツダ ロードスターRF

キャンバスルーフのスマート フォーツーカブリオ、ホンダ S660あたりか。

(これ以外は、wikipediaにて)

 

上記*印を除いていずれも乗車定員2名。

4名以上の乗車定員のクルマなら、ルーフのサイドが残るキャンバストップのカブリオレもある
 

 

Tバールーフの市販車リリースは2000年あたりで消滅したようだ。

 

なんでも「スマート」でなければならないご時世である。ワンタッチで開閉できるような仕掛けがないと抵抗があるのだろう。脱着の手間なら、現代のS660と比べてもさほど変わらないと思うが、ハッチの重量は問題だ。

収納にもやや難がある。
エクサは荷室床下にルーフを重ねて収納するスペースもある(
下の写真は1枚を収納)が、ここにきちんと収めるのは面倒なので使うことはほぼなく、後席とトランクに1枚ずつ置く。
 

 

いずれにしても、この形式のTバールーフは今となっては新型で出てくる気がしない。


日産もトライはしていた。

Redigo(2003年:東京モーターショー)のセンタースロットイン・ルーフ。

こんなカタチなら「あり」では? なぜ市販車に反映されない?  
ルーフのからくり以上にスタイルも魅力的だ。


http://www.allcarindex.com/auto-car-model/Japan-Nissan-Redigo/


Urge(2006年:コンセプトカー)は、Tバールーフだが、手動キャンバストップとのこと。どうもこのあたりがショーカーとしても最後のTバーモデルか。10年以上前のことである。

このデザインもかなり魅力的だ。

中央部を色違いのサイドパネルでサンドイッチしたようなカタチ。これはぜひ量産車に反映してほしい。最近は色違いのルーフが流行りだが、両サイド色違いや、フロント、キャビン、リアエンドが色違いなどもありだと思う。ホイールアーチも円弧だけでなく、オプションでブリスタータイプとか選べると楽しい。そして、キャノピーハッチバージョンもお願いしたい。さらには、2シーターは売れないから+2(エマージェンシー用)であっても4座にして。

 

http://www.allcarindex.com/auto-car-model/Japan-Nissan-Urge/


おまけ

エクサと同時期のコンセプトカーJudo(1987年)も、可動ルーフの下はTバーだった。

http://www.carstyling.ru/ru/car/1987_nissan_judo/


5. ドアトリム

 

ドア内側の上側には、分厚いトリムがあてられていて、当時の大衆車クラスとしては贅沢なカタチだ。
外観はシンプルで大きな抑揚はないが、その分内装にはアクセントを付けたといったところだろうか。

 

その断面形状はBMW M1(1978)のそれに似ている(↓写真)。
似ているがしかし、エクサのトリムは尾根上に盛り上がっていて、ガラスの格納溝はその向こう側、少し下がったところに位置している。このトリムの稜線に指をかけてドアを閉めることもできるくらいの立体形状だ。

 

 

このトリムはダッシュボードにつながる部分が最も分厚く、中にダクトが通っていてエアアウトレットはドア側にある。


国産車では、

コスモ/ルーチェ、サバンナRX-7、ペルソナ、プレリュード、NSX、フェアレディZ32型などもドア側だ。

サバンナRX-7(FC3S型、1985-1991)は、ドア側が完全にダッシュボード側に食い込んだ特異なカタチだ。

ここまでしてドア側に設置する必然性はないようにも思うが、なんだかスペシャルな感じは醸し出している。


エクサの吹き出し口は可動式。用もないのにパカポコと開け閉めしてしまう。
閉じても風は出てくる。可動の必然はないようにも思うが、なんだかスペシャルな感じは漂ってくる。

 


6. メーターナセル

 

傾斜したダッシュボードにおかれたメーターナセル。

先代のパルサーからその形式だが、エクサは左右に張り出したクラスタースイッチを配置。クラスターというほどいろいろ付いているわけではない。右にライト関係、およびリアデフォッガーとライトのリトラクト用、左にはワイパー関係とハザード。

 

このクラスタースイッチは、ハンドルに指をかけた状態でも操作できなくはないが、ステアリングの軸が傾いているため、左右でハンドルからのリーチが微妙に異なる。

 

上部左右に3個ずつ計6個のスイッチが付いているように見えるが、3個はダミーである。ダミーは押しても動かないから、虚しさのみが残るが、丸いくぼみと突起がデザインされていて、とりあえずスイッチマニアの溜飲は下げてくれる。

 

Z32型や古くはピアッツアなどはこの部分に空調関係も取り込んでいるが、エクサはそこまでコストをかけられなかった。というか、たかがこれだけのスイッチのために、セダンやハッチバックとは別仕立てでクラスター部を設けたのはスペシャリティへのこだわりか。MR2(AW10型、1984-1989)もしかり。

 

 

 

このメータナセルも凝ったカタチだが、運転席から眺めているだけでは全容を把握できない。 

横から見ると、クラスター部はメーターナセル基部からかなり張り出している。
取付け部が細くなっているから強度的には不利だが、メータバイザーと一体化せず敢えて独立させている。取って付けた感じがメカっぽくて逸脱感大である。

 

 

エクサの後継のNXクーペではセダンと全く同じインパネになってしまった。

スペシャリティカーとして積極的に選択する理由が半減したと言っていいだろう。クルマの外観を眺めているよりダッシュボードを眺めている時間のほうが圧倒的に長いのだから。

 


7. ベルトライン

 

ベルトラインはボンネットおよびトランクリッドの稜線から一段低くなっている。

ドアパネルとガラスの境界に黒いモールが施されているため、遠目には実際よりガラスエリアが大きく見える。これによりロワボディのボリュームが軽減して全体としてスマートに見える。


ドアパネルの上端ラインはエクサの外装で最もエッジが立っている。

このラインはフロントフェンダーには食い込まず、Aピラーからの下降ラインで断ち切られている。
フロントエンドまで伸ばしたくなるところを止めて、フェンダー側にはプレーンな面を残した。
シルピア/ガゼール(S12型、1983-1988)は止められなかった。

http://www.nissan.co.jp/MUSEUM/SILVIA/S12/main.html

 

ドア内側のトリムの稜線は、途中から外側のラインと決別し、隆起しながらダッシュボードへとつながっている。

最近でもよくあるカタチではある。
  


センターピラーのドアガラス側も斜めにそぎ落としたようにエッジが立っている。

このラインはドアのパーティングからルーフまで一直線だ。


センターピラー側はドアハンドル用のくぼみとサイドモール以外何もないプレーンな面だから、この直線を境に前後で別の車体が合体されているかのようだ。


全体を見れば、ドア、Tバールーフ、リアハッチなどのパーティングラインが、グラフィカルに破綻なくデザインされている。

 


8. 一筋の稜線

 

ブリスター風の凹凸や、エアインテーク、エアアウトレット風の加飾で埋め尽くされたクルマを見るにつけ、小学生受けでも狙っているのかと勘ぐりたくなる。

 

「間」ともいうべき余裕のようなものが面や稜線に感じられないのである。いろんなカタチを詰め込むと、見る側の解釈が追い付かず、記憶に残りにくい、もしくは些末なところが妙に気になるだけのクルマになってしまう。意味もなく洗車の手間を増やすだけの凹凸はやめてほしいと思うユーザーもいるのではないか。


記憶に残るクルマを仕立てるなら、安直で無意味な凹凸は不要だ。

眺めていたいと思わせる一筋の稜線があるだけでいい。

エクサのフェンダー稜線はシンプルに見えるが、フロントエンドにかけて絶妙にカーブを描いている。これ以上絞り込むとノーズはか細くなるし、これ以上広いと先代のような折り紙細工になってしまう。

 

モデル後半のLAバージョンによって、フロントバンパー下部が変更され、エアダムスカートがより強調された。フロントフェンダーとの意匠的なマッチングもよくなった。

クーペのリアハッチ、トランクリッドの稜線はフロントのそれよりややシャープであり、ベルトラインから稜線への傾斜もボディ内側に倒れこんでいるので、フロントからの連続性はやや乏しい。それはモジュラー構造を視覚的に見せる敢えての演出とも理解できるが、キャノピーとの整合性を保つためリアエンドはフロントほど絞り込めなかったから、やや角ばって古臭い感じではある。


しかし、どんなリアエンドが来ようと、エクサのデザインの方向性は、吟味されたフェンダー稜線によって表現されていると言っていいだろう。